オペレーションZ

今回も、急な出撃(出張)となりました。
本当は、ミッターマイヤー(もちろん仮名)の出撃準備を手伝っていたのですが、
いつのまにやら、自分の名前も出撃者リストの末席に、、、
「緊急時には、投入できる最大規模の戦力を投入し、早急に事態の改善を図るべし」
というわけで、逆らうわけにもいかず、自分も出撃とあいなりました。

急な出撃だったので、出撃航路(航空便)も無茶苦茶です。
目指す戦場は、いつもの通りスウェーデンのヨーテボリ。
予定では、まずは,成田からパリまで。(おいおい、行き過ぎだよ。)
その後、パリからストックホルム。(戻り過ぎだよ、まったく。)
やっと、ストックホルムからヨーテボリ。
合計、26時間の遠征。一日に2度の乗り継ぎ。3度のフライト。
「これは、まるでZ字のような航路ですね。」
というわけで、オペレーション・Zは開始されました。

当初の予想では、パリのシャルル・ドゴール空港が一番の難関のように思っていました。
というのも、ターミナル間の乗り継ぎは、バスに乗るからです。
まずは、飛行機を降ります。
その後、レオス・カラックス監督が「汚れた血」で使用した通路を横目に見て、
バスに乗り込みます。バスから降りて、階段を上がり、右に曲がってまっすぐ進み、
左に曲がり、出口を横目に右に曲がり、やっと乗り継ぎカウンター。
「なんだ、すんなり行きましたね。」と思ったのもつかぬま、そこで2時間も待つ羽目に。
すでに日本時間では、真夜中の1時。まったく、眠くてつらい。
「Wait、Wait、and Wait」という、カサブランカのナレーションが頭に響いてくるようです。
しかし、最大の悲劇はパリではなく、ストックホルムで起こりました。
ストックホルムに到着したのは、すでに日本時間では真夜中の5時。
しかも乗り継ぎには1時間程度しかありません。
到着したターミナルが5番。出発が4番ターミナル。結構な距離です。
乗り継ぎカウンターを目指して、はや歩きで進み、CheckInしようとしたとたんに、
「あなた方は、ターミナル5番で荷物をPickUpして、自分でここまでは運ぶ必要があります。」
一瞬何を言われているのは分かりませんでした。
だって、AN○の受付のお姉さんは荷物を預けた時に、「ヨーテボリまで責任を持ってお預かりします。」
って言ってくれたじゃありませんか。
エー○・フランスのチェックイン・カウンターの受付嬢さんだって、
荷物のことを聞いたとき、「it's perfect」って美しい声で言ってくれたのに、、、
ああ、それなのに、それなのに。
急いでターミナル5番を目指して、荷物を取りに行こうとしましたが、
いったんターミナルの外に出てしまっているので逆走はできません。
係りのおばさんに、ス○ンジナビアン空港のカウンターに行くように言われました。
しかし、スカンジナビ○ン空港のおばさんには、
「わしゃ、エール・○ランスの事なんか知らん。NOVICKというところに行けや。」
と冷たくあしらいます。
迷いながらもNOVICKというところを見つけましたが、カーテンがしまったきり、
呼んでも誰も出てきません。
万事休すと思われたその時、「どうかしましたか?」という流暢な日本語が、、、、
見ると日本人と思われる御婦人とスウェーデン人と思われる立派な紳士、かわいいお坊ちゃんの家族連れ。
理由を説明すると、
「あなたたちは、先に飛行機に乗ったほうがいいですね。空港には、私が交渉しておきますから。」
とのありがたいお言葉。
丁寧にお礼を行って飛行機に乗り込もうとした瞬間、先ほどの紳士が追いかけてきました。
「荷物は明日、ヨーテボリに運ぶように依頼しておきました。
 あなた方もヨーテボリの空港についたら係りの人間に再度、依頼してください。
 そうすれば確実です。」との事。いや、本当によかった。
ダッシュで飛行機に乗り込むと、出発時間まで、あと3分でした。
よかった、よかった。ぎりぎり間に合った。
しかし、慌てていたために、親切なあの方々の名前を聞くのを忘れてしまいました。
そのことに気づいた時には、すでに飛行機は離陸準備を開始していたとき。
降りることなどできるわけもありません。時すでに遅し、です。
そのことについては、今でも、とても悔やんでいます。

ストックホルムの空港で親切にしていただいた方へ。
これを読んで下さることを切に願います。
本当にありがとうございました。
右も左も分からない、言葉も通じにくい異国の地で、
あなた方に親切にしていただいたこと、感謝の気持ちに耐えません。
本当にありがとうございました。



そして、次の朝。
「日本からの出張者が、客先にGパンで訪問するようなことは決して無い」
それが過去形で語られるときがついにやってきてしまいました。
ですが、荷物がないのだからどうしようもありません。
まあ、お堅い客ではないので、いい笑いものになっただけですみました。

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