Audit

Auditと書いてオーディットと読みます。つまり監査のことです。
仕事に手順書があるか、手順書は守られているか、等々の、
細かな確認をされてしまう、とてもいやなものです。
経験された方は分かると思いますが、監査を受けているほうにとっては、
人間性を否定されたかのようないじわるな質問攻め。
これには本当に参ります。

監査を実施する人間には、いろいろいます。
社内の人、お客さん、お客さんが雇った専門家、などです。
社内の人は、社内に精通しているので大変ですが、
欠点を見つけられても、影響は社内だけで済みます。
お客さんが乗り込んできて監査をする場合、
社内ルールに精通していないので、ごまかしやすいのですが、
欠点が見つかったら一大事。仕事を失ってしまいます。
そして、お客さんが雇った専門家というと、
それを専門に商売しているのですから、とても厄介です。
そして今回、お客さんが雇った専門家が乗り込んできました。

準備も万端。証拠も捏造して、望んだ監査。
しかし、監査員は社内のことなぞ目もくれず、
「海外の事務所と共同で仕事をしているんですね。」
「相手とのやり取りは、どうしてます?」
「同じ手順書、使ってるんですか?」
「期日どおり、海外から書類は提出されているんですか?」
予想外の質問に、まったく答えられません。
海外の事務所を尊重しすぎたせいか、はたまた、甘やかしたせいか、
彼らには、好き放題やらせてしまっているので、証拠も何もありません。
「これでは、海外の事務所も監査するしかありませんね。」

というわけで、私も同行することになりました。
ほとんど怒られにいくようなものです。とほほ、、、

行きの成田エキスプレスで会社員風の方と隣同士になりました。
「私も会社に突然命令されて、今からアメリカに謝りに行くんですよ。」
お、なんだか、そっくりな境遇。
しかし、隣の方は一ヶ月も滞在するそうな、、、
こういう人たちが日本を支えているんだな、、
最後に、「お互いがんばりましょう。」
とお互いを励まし合いました。
名前も知らないお方、本当にがんばってくださいね。

そして12時間かけてイギリスに、、、、

最初の日は監査員を交えず、社内的な話し合い。
私がいくら説明しても、危機的状況を分かってもらえません。
かなり楽観的です。
「まあ、弱みを見つけてもらって、改善してゆこう。」
そんな雰囲気です。
これが、いつまで続くのやら、、、、

そして、次の日。
案の定、次から次へと欠点を指摘されてしまいます。
「want to die quickly.」
楽観的だったこちらの人も、そんな弱音を吐くようになりました。

ああ、これからどうしよう、、そんな落胆的な気持ちでいると、
その夜、今回参加されたお客さんからの代表者が散歩に行こうと、
誘ってくれました。
そこで、こんなはずじゃなかったんだ、今度から改善するから、、
と、愚痴っぽいことを言うと、
分かってるよ、いま、欠点が見つかることはいいことじゃないか、
と涙が出てくるようなお言葉。ああ、ありがたや。

そして、監査の最後の日。私に対する監査員の最後の質問となりました。
「こんな貧弱な彼ら(海外の事業所の人々)を、お前は使い続けるのか。
 次のプロジェクトでも使うつもりかね?」
と、とんでもない質問を私に投げてくるではありませんか。
「確かに彼らには手順書もなく、欠点だらけだが、
 個々人の技術は確かなものがある。
 欠点は直すこともできるので、使い続けるでしょう。」
そう、答えて、なんかスッキリしました。
彼らはまだ、子供のような状態。
ともに苦労し、暖かく成長を見守っていこう。
いまさらながらですが、そんな気がしました。

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